世界最古ビール、初の化学分析…古代エジプトで醸造「どろっとした麦味か」
ヒエラコンポリス遺跡のビール工房跡(サイエンティフィック・リポーツより)
早大・馬場客員主任研究員ら、防腐の工夫も明らかに
馬場研究員らが分析した結果が英科学誌サイエンティフィック・リポーツに掲載された。分析したのは、エジプト南部のヒエラコンポリス遺跡で発見された、世界最古のビール工房跡(紀元前3600年頃)で見つかった、醸造の残りかす。同遺跡の工房跡は、直径1メートルほどだったと考えられる大がめを、少なくとも5基並べて地中に埋め、外側で火をたいて加熱する構造。大がめの中には、液体が凝固した黒いかすが付着していた。製造したビールを入れる土器を焼いたとみられる遺構もあった。五つの大がめが同時に稼働すれば、最大325リットルものビールを醸造できたと考えられる。
これまでは、大がめ内の残りかすや工房周辺の土の顕微鏡観察によって、麦汁を発酵させてビールを醸造していたと考えられていたが、化学的な成分分析は行われていなかった。
顕微鏡観察で確認されていたのは、エンマー小麦を中心に少量の大麦が用いられていたことや、発酵に必要な酵母のようなものの存在。
今回、残りかすの化学的な成分分析を行ったところ、現代でも穀物から酒を醸造した際に生じるコハク酸やシュウ酸が検出されたことから、人為的にアルコールを作っていたことが確認された。
多量のリン酸が含まれていたことも確認された。リン酸は、現代でも清涼飲料水に防腐などのために添加される。エンマー小麦よりも大麦に多く含まれることから、馬場研究員は、「古代のビール職人は大麦を加えることで長持ちすることを経験的に知っていたのだろう」と話す。
また、ナツメヤシなどの果物に含まれるプロリンも検出され、果物を加えていた可能性があることもわかった。「発酵に必要な糖度を得るためと、風味を高めるためではないか」と馬場研究員。ただ味は、「ホップの添加もなく、たいした濾過(ろか)もされていなかったはずで、現代のビールとはだいぶ違う、麦味のどろっとしたアルコール飲料だったはず」。
工房跡は同遺跡の中でも支配者層の墓域近くにあり、墓前での儀礼のために支配者が管理して大量に安定して製造し、分配を行っていたと考えられるという。
(文化部 清岡央)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200123-00010000-yom-sctch
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Source: ダイエット速報@2ちゃんねる
【研究】世界最古のビール、初の化学分析…古代エジプトで醸造「どろっとした麦味か」